ゴルフメッキ工房 ブログ

アルファメックによるゴルフメッキ工房ブログです。
ゴルフメッキ工房では、オリジナルゴルフヘッドの製作を主な業務として営業しています。
カスタムヘッド製作やゴルフのことなどを現場から発信していきます。

フェイスブラストがもたらす効果

アイアンとウェッジには、スコアラインと呼ばれる溝が掘ってあり、その部分をフェイスと呼びます。フェイス面はトゥーとヒールとの視覚差を作る目的と、表面に粗さを持たせてスピン量を上げるためにサンドブラスト処理を行います。

今回こんな当たり前の話をするのには訳があって、ちょっとのことでそこまで変化があるのかと関心することがあったので皆さんにご紹介したいと思ったからです。

ブラックボロン艶消し・フェイスニッケル出し仕様で起こった不思議な出来事

世の中ゴルフ好きの方は沢山いますが、ギアオタクと呼ばれる方もその中に多く含まれているかと思います。弊社のホームページを見つけて隅々まで読んでオーダーをしてくださる方もいらっしゃり、こういったニッチ産業に携わっている面白さだなと常々感じております。

この中見出しにある「ブラックボロン艶消し・フェイスニッケル出し」仕様とは、ブラックボロン艶消しに仕上げた後で、フェイス面を長時間サンドブラストに曝すことで黒化処理被膜を削ぎ落し、下地の無電解ニッケルメッキ層を表出させることで、かなりフェイス面のコントラストを演出できる仕様となっています。

元々は、ブラックボロンがウェッジへの適用時にどうしてもバンカーショットなどで直ぐに黒化処理被膜のみがすぐに削れ落ちてしまい、フェイス面を黒く保てないというご不満がお客様から寄せられたことと、自分たち自身でも試打クラブを用いたテストラウンドでそういった課題を理解していたため、どうせ削れてしまうなら最初からフェイス面の黒化処理被膜を削り取っておいてしまえばいいのだという発想でこの仕様は生まれました。

作ってみたところ、構えるとエイミングラインがはっきりくっきり見えるので、どうやら方向性がシビアになるウェッジに非常に向いているなということになり、細々とプロモーションをすることになりました。

転機となったオールブラックボロン

知人社長のご依頼で、2番アイアンから下3本まで11本をお任せいただくことになり、ウェッジ3本だけフェイスニッケル出し仕様、それ以外がフルブラックボロンでのオーダーとなりました。

納品から約1年間大切に使っていただいていたのですが、先日唐突にご連絡をいただきこんな不思議な話をされました。

「フェイスニッケル出しのピッチングウェッジの食いつきがいいのか、9番アイアンより飛距離が出て困ってる。だから、もう2番から9番まで全部フェイスニッケル出しに改造してもらえるかな?」

え?フルブラックボロンと、フェイスニッケル出しとで飛距離が変わる!?

組み立ては兼ねてより依頼している信頼のおける工房さん。バランスも全て上から下まで確実に通るように組んだはず。

言われた通り、すべての番手をフェイスニッケル出しに変更してみました。

ブラストだけだったのでシャフトは抜かず、そのままマスキングして対応。少し費用は掛かりましたが、ご納得いただきそのまま納品。

その数日後、やはり期待した通りの結果が出たと連絡が入りました。

  • 9番から上の飛距離が飛躍的に伸びてピッチングとの差がメッキ前に戻った
  • フェード気味だったボールが食いつきがよくなりドロー気味になった
  • ロングアイアンも飛距離が伸びた

この結果から導き出される考察としては、サンドブラストによるフェイス粗しの効果は、ボールへの食い付きを増やすことで、球持ちのよさすら演出しているのだということが言えます。

今後も研究を続けたいと思いおます。