ウェッジのスピン量と表面処理の関係

目の前すぐそばにグリーンがあり、しかもグリーンエッジからピンまでほとんど距離がありません。ランニングアプローチは考えにくいラフで、ピンの手前に落としてもオーバーしてしまうことは必至の状況。こんな時、プロの様なバックスピンがかけられたらいいのに。

そう考えて、フェースを開き、見よう見まねでバックスピンを掛けようとした次の瞬間!!

ボールはトップしてピンを大きくオーバーし、そこから3パット。「せっかくグリーン横までボールを運べたのに、なんてついていないんだ。」と思う、よくある光景です。

バックスピンの要素は力ではないはず

230yd飛ばす女子プロと、230yd飛ばすアマチュア男性の腕力に違いはないはずで、むしろムダな力が入っている分男性の方が腕力はあるはずです。色んなサイトを見て打ち方について勉強しましたが、とにかく理論を頭に叩き込んで沢山練習するしかない特殊な球種だということは分かりました。

道具に頼れないだろうか

ここからが本題になるのですが、スピンがかかり易い道具を使うか使わないかで言えば、使った方が絶対バックスピンがかかり易いに決まっています。あくまでも打ち方の問題で、道具が関係ないという方ももちろんいらっしゃるでしょうが、道具に頼ってもらわないと我々ゴルフ用具を取り扱う職業の人間は辛いんです。

冗談は置いておきまして、スピン性能を上げる要素をご紹介します。

①柔らかいボール

柔らかいボールは、潰れてフェース面との接地面積が増すのでスピンがかかり易くなります。逆に飛びにくくなるので、飛距離を求めるかスピンを求めるかでボールを選ぶことになります。

②高重心ヘッドでダウンブロー

ウェッジのギア効果で、重心が上にあればフェースが下に向こうとベクトルが働くので、ボールにしっかりとスピンをかけることが出来ます。低重心ウェッジはボールを上げることに特化していますが、ダウンブローで打つとスピンがかかりにくくなるという弱点もあるということです。

③摩擦係数の低いメッキ処理

一度実験したことがあるのですが、PTFE(テフロン)を含んだメッキを処理すると、一般的なサテンクロム処理と比較するとスピン量が増したという結果が出ました。

PTFE(テフロン)は調理器具の離型性を上げることでティファール®などが採用している粒子ですが、これを無電解ニッケルメッキに共析させることで、表面の摩擦係数を下げる効果があります。同じ製品にPTFE含有の無電解ニッケルメッキと、非含有のものを処理してみると、指で触ってもその違いは分かります。

フェース面には溝が掘ってありますが、フラットな面でボールが滑ることで、溝に引っ掛かる時のスピードが増すことで、スピン量が増えると考えられます。

④溝などフェース面の機械加工

角溝はR&Aで禁止されましたが、物理的にボールが引っ掛かる部分の形状を工夫することがスピン量を増加させる要素の中でも特に重要かと考えられます。

ここで、メッキの原理についてもう少し詳しく解説したいと思います。

メッキ皮膜を素材に析出させる方法として、電気メッキと無電解メッキの二種類をゴルフメッキ工房では使用しています。下図のように、四角い素材にメッキをつけると、電気メッキの方は極端な例を取ってみれば角につきやすく、中央部にはつきにくいという特徴があります。無電解メッキは均一にメッキ皮膜をつけることが特徴になるため、素材の寸法精度を殆ど変えずに処理することが可能です。

もちろん電気メッキにもメリットがあり、無電解メッキよりも処理時間が3~6倍速いことや、薬液コストが低いこと、そして多種多様なメッキラインナップがあることも特徴として挙げられます。

こうなると、電気メッキよりも無電解メッキの方が溝の角部についてはエッジが効いた形状を保つことが可能と言えます。ただし、マイクロメートル単位で観察すれば、無電解メッキであっても若干角部が丸くなることは否定できません。

ノンメッキがベストとは言い切れない

軟鉄鍛造アイアンの場合、防錆処理として何かしらの表面処理は必須条件となります。ノンメッキで使用した場合、直ぐに錆び始めます。そして、錆び始めるとエッジの効いていた溝も場合によってはその鋭さを欠き、表面の粗度も上がることから満足な設計性能を発揮できなくなります。

黒染めに代表される化成処理は、防錆目的としては確かに効果がありますが、耐摩耗性については数マイクロメートル(1/1000~10/1000mm)の厚みしかないため、バンカーショットなどの強い衝撃が加われば簡単に素材が出てきてしまうので、それも剥がれると錆びてしまう原因となります。弊社のブラックボロンは、黒化処理被膜が化成処理であるため、比較的剥がれやすいものではありますが、その下に三重のメッキ処理が為されているため錆びるリスクは低いものとなっております。

ロストワックス(ステンレスの鋳造)などである程度形作ったあとで、機械加工を加える方法が主流ではありますが、以下の点で軟鉄鍛造に劣ります。

  • 柔らかい打感が得られない
  • クロムメッキなどと比較すると、ステンレスの外観は鈍くくすんで見える
  • クロムメッキと比較して硬度が1/3~1/2程度で耐久性に劣る
  • ロフト角調整が出来ない
  • 研磨修正で重量が減った場合メッキで重量調整する前提に無い

さいごにおススメ

  • 「無電解ニッケル/PTFE複合メッキ」処理
    ※通常ラインナップにない為、都度お問い合わせ願います
  • 高重心設計のウェッジ
  • 柔らかいスピン重視のボール
  • 100回やって100回成功するように練習すること!?


お問合
わせ

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