ゴルフメッキ工房 ブログ

アルファメックによるゴルフメッキ工房ブログです。
ゴルフメッキ工房では、オリジナルゴルフヘッドの製作を主な業務として営業しています。
カスタムヘッド製作やゴルフのことなどを現場から発信していきます。

サンポールで剥離しようとするの今すぐ止めてください

最近増加傾向にある個人のお客様からのお問い合わせがこちらです。

「サンポールで剥離しようとしたのですが、失敗しました。アルファメックさんで直してもらえませんか?」

サンポールは商品名ですが、混ぜるな危険でお馴染みの”塩酸”が入った、便器にこびりついた汚れを除去する洗剤というのは皆さんご存じだと思います。塩酸が9.5%入っているので、手にかかったことがある人は見に覚えがあると思うんですが、かなりヒリヒリして痛いです。そして、かけて少し放置するとツーンとくる塩素ガスの臭いも体験したことがあると思います。

YouTubeにサンポールを使って剥離したとか、銅メッキしたとか色んなやってみた動画を上げている方が多いのですが、サンポールで剥離出来るのはアルマイト皮膜であって、ゴルフクラブに処理されたメッキ皮膜を”キレイに”除去することは困難です。出来なくは無いですが、仕上がりはボロボロになります。絶対やめましょう。

サンポールで剥がれるのはクロムメッキだけ

サンポールに含まれる塩素は、クロムの天敵ですので、サンポールの原液や少し薄めた水溶液にゴルフヘッドを漬ければ、しばらくして発泡を始め、15分ぐらいで完全に溶けてしまいます。

クロムメッキ層だけが。

残念ながらゴルフヘッドの剥離にサンポールだけじゃだめな理由が3つあります。

1.下地のニッケルメッキが死ぬほど強い

ニッケルメッキは塩酸で溶けますが、クロムよりも溶けにくいので相当な時間を要することになります。その結果、ニッケルメッキの分厚い部分を完全に溶かしきる前に、薄い部分の下地の鉄素地が塩酸で侵されてしまい、ボロボロのアイアンが完成します。また、最初からメッキが乗っていないホーゼルの内径などは、本当にボロボロになってしまうので、シャフトを刺そうにも隙間が大きすぎて、ガタついてしまいます。

また、トンデモナイ時間が掛かってしまうので、止めた方がいいです。

2.塗料の下のメッキは残ったままになる

そもそも、ゴルフヘッドのメッキを剥離する際、塗料の除去からスタートします。塗料は有機溶剤で簡単に除去することが出来ますが、酸やアルカリで除去しようとしても出来ません。再メッキする場合など、その部分だけ密着不良を起こして仕上がりが悪くなること間違いなしで、我々の中ではその工程を抜くことはタブーとなっています。

3.廃液を流してはいけない

サンポールでメッキを剥がしきったとして、そのサンポールの廃液にはクロム、ニッケル、銅、鉄などの重金属が多量に含まれてしまいます。これを下水道に流してしまうことは、法律で禁止されています。なぜなら、重金属を多く含む下水道水を、下水処理設備に入れてしまった場合、汚れを分解する役割の微生物が死んでしまうためです。

メッキのDIYは大切なゴルフクラブに適さない

リシャフト、グリップ交換、研磨など、ゴルフクラブを自分の手で改造したいというニーズは沢山あることを知っています。ただ、上記の理由でメッキとメッキ剥離だけは絶対におススメしません。

弊社は、ゴルフヘッドの剥離だけするサービスも提供しておりますので、研磨など自分自身の手で行われたい方は是非ともお問い合わせください。