ゴルフメッキ工房 ブログ

アルファメックによるゴルフメッキ工房ブログです。
ゴルフメッキ工房では、オリジナルゴルフヘッドの製作を主な業務として営業しています。
カスタムヘッド製作やゴルフのことなどを現場から発信していきます。

ネオマレットパターへのメッキ

先日メルカリでネオマレットパターに分類されるScotty Cameron Phantom X 11.5を仕入れて、ブラックボロンに仕上げてみました。弊社のホームページを隅から隅まで読んでいただいている方は、「あれ?ネオマレットタイプのようなパーツで組みあがったパターの対応はしないのでは?」と思われるかと思いますが、順を追って説明したいと思います。

ネオマレットパター

マレットパターは、ピンタイプやL型タイプよりも重心が後ろにあってミスショットに強い優しいパターという位置づけで人気がありますが、それよりもアルミなどの軽い材質を用いることでさらに巨大化させ、慣性モーメントを大きくさせることで安定したストロークを実現させています。

これにメッキを施そうとすると大きな問題が発生します。上の写真でシルバーの部分がステンレスで出来ており、ブラックの部分は上記の通りアルミを使用しており、さらにはウェイトにタングステンを使った合金が用いられています。金属それぞれに適切な表面処理があり、ステンレスに対しての工程をアルミやタングステンに行うと、素材が溶けてしまうのです。それに加えて、ネジや接着剤で留められた部分はアルカリ洗浄剤や熱に弱いので、途中で分解してしまう恐れがあり、隙間も多いため遅れて前処理の液がめっき槽に染み出すため不具合を起こすこと間違いなしというのが、問題の主な原因です。

分解の必要

そういう理由で、ステンレスパーツにメッキを施すためには、まず全てのパーツを分解しなければなりません。

ウェイトはAmazonなどで売っている専用の工具を使って外すことが出来ます。また、皿ネジも六角レンチで外せます。これは2.0ミリでした。

外すときに気を付けるべき点は、本物でなおかつ一度も取外ししていないものはウェイトの中に接着剤が塗られているので、ヒートガンで温めてから取り外さないと、硬くて外すのに苦労します。私はそれを知らなくて、勢いがついたままウェイトとアルミカバーに傷を入れてしまう痛恨のミスを犯しました。

ガリっといってしまった部分は、ポスターカラーの黒で塗って誤魔化しましたが、黒アルマイトと発色が全く違うのでよく見るとバレバレです。知識不足は本当に罪悪ですね。

念願の全部真っ黒に

取り外したステンレスパーツと共に、実はパーツも鉄寄りの材料比率であれば黒くメッキすることが出来ます。

スコッティキャメロンのウェイトは20g以上がタングステン含有率が高く、密着不良を起こすため限定的にテフロンブラックだけが対応できます。

ネオマレットデビューで気付いたこと

早速組み立て終わって、実戦に投入したのですが音が少し気になりました。パーツ同士の隙間が空いていて、カツンという音に少し軽い反響音があったのです。

分解したときにあった、接着テープを少し分けて頂き、t=0.4mmのものを貼って再び打ってみたところ、一体感の増した音になり一安心です。

プロにお任せするべき

我々はメッキのプロですが、ゴルフギアの組み立ては絶対に慣れていて工具も揃えているプロのクラフトマンにお任せすべきだと強く申し上げたいと思います。

このブログでは、やれば出来るということと、分解組み立てはプロにお任せしましょうということをお伝えできたかなと思います。皆さん分解して好きな色にメッキしましょう。