ゴルフメッキ工房 ブログ

アルファメックによるゴルフメッキ工房ブログです。
ゴルフメッキ工房では、オリジナルゴルフヘッドの製作を主な業務として営業しています。
カスタムヘッド製作やゴルフのことなどを現場から発信していきます。

遺品のパターがつないでくれた、思いがけない物語

 私たちは日々、ゴルフクラブのめっき加工やレストアのご依頼をお受けしています。 その中には、単なる「修理」や「カスタム」という言葉だけでは表現しきれない、 お客様それぞれの大切な背景があることを、あらためて感じさせられる場面があります。

今回は、実際にあったご依頼の中でも、特に印象深く、私たちの心に残ったエピソードをご紹介させていただきます。

「できるだけ元通り綺麗にしてほしい」―― 1本のパターから始まったご依頼

ある日、お客様からスコッティキャメロンのパターをお預かりしました。 ご要望は、とてもシンプルでした。

「できるだけ元通り綺麗にしてほしい」

今回のご依頼内容は、以下の通りでした。

  • メッキ:ビーズボロン
  • オプション:有償傷取り
  • オプション:リシャフト
  • オプション:色入れ

リシャフトについては、弊社が提携しているゴルフ工房へ依頼しています。 そこで、持ち込んだ際に工房の職人さんから、こんな言葉がありました。

「このオーナーさん、かなり色々いじってるで。純正じゃないシャフト挿してるし、ウェイトも自分で貼ってはるし。色も売ってるのと全然違う色に変えてる。」

その言葉を聞いて、私たちも少し驚きました。 一見すると、ただ大切に使い込まれてきたパターのように見えていたのですが、 実際にはオーナー様ご自身の手で、かなり細かく手が加えられていたのです。

つまりこのパターは、既製品をそのまま使っていた一本ではなく、 持ち主のこだわりや試行錯誤が詰まった、いわば「その人だけの一本」でした。

仕上がったあとに知った、想像もしていなかった背景

めっき加工が完了し、シャフトも元のバランスを意識しながら挿し直し、 いよいよお客様へご連絡する段階になりました。

今回は、作業の過程でウェイトを外した点など、 仕上がりに関わる内容をきちんとご説明する必要がありましたので、 その経緯も含めてご連絡を差し上げました。

すると、お客様から思いもよらないお返事をいただきました。

そのパターは、ご本人のものではなく、 半年前に亡くなられたお父様の遺品だったのです。

ご本人は、もともとそこまでゴルフをされるわけではなかったそうです。 けれど、ゴルフに熱中していたお父様が使っていたこのパターを手にして、 「自分もこれを使ってゴルフを始めてみようか」 そう思われて、アルファメックにご依頼くださったとのことでした。

さらに、お父様がこのスコッティキャメロンをかなり改造していたことも、 今回のやり取りを通じて初めて知ったそうです。

純正のまま大切に使っていたのではなく、 シャフトを替え、ウェイトを工夫し、色まで変えていた。 そこには、単なる道具ではなく、自分仕様に仕上げようとするお父様の強いこだわりがありました。

遺品として何度も見ていたはずの一本から、 新たなお父様の一面が見えてきた。 それはお客様にとって、とても大きな発見だったのだと思います。

「父に成り代わって感謝を伝えたい」

そして、お客様はこう言ってくださいました。

「出す前に何度も見ていたから分かるが、本当に見違えるように綺麗になっていて驚いている。父に成り代わって感謝を伝えたい。」

この言葉をいただいたとき、私たちは胸が熱くなりました。

ただ見た目を整えただけではない。 ただ古いクラブを再生しただけでもない。 一本のパターを通じて、お父様の記憶やこだわりがもう一度浮かび上がり、 それがご家族の新しい一歩につながった。

私たちの仕事が、そのきっかけの一部になれたのだとしたら、 これほどありがたいことはありません。

この一本に関わったのは、7名の担当者でした

なお、今回のご依頼には、実に多くの人が関わっています。

  • 窓口担当
  • 研磨職人
  • ブラスト職人
  • メッキ職人 2名
  • 工房職人
  • マスキング担当のパートタイマー

合計7名です。

お客様から見れば、一本のパターが綺麗になって戻ってきた、という結果かもしれません。 ですがその裏では、それぞれの持ち場で、それぞれの技術を使いながら、 一本のクラブを丁寧に仕上げるために人が動いています。

だからこそ、このようなお言葉をいただけたことは、 担当者一人だけではなく、関わった全員にとっての喜びでした。

当たり前の仕事の先にあるもの

私たちは普段、当たり前のことを仕事としてやっているだけです。 お預かりしたものを、できる限り丁寧に、誠実に仕上げてお返しする。 それ自体は、特別なことではありません。

けれど、その当たり前の仕事の先で、 お客様から思いがけないお話を伺ったり、 心のこもったお礼の言葉を頂戴したり、 時にはこちらまで涙が出そうになるような瞬間に出会うことがあります。

ゴルフクラブは、ただの道具ではありません。 長年の記憶が染み込み、 使った人の性格や工夫や思い出が刻み込まれているものです。

だからこそ私たちは、 単にめっきをする、傷を取る、色を入れるという作業だけをしているのではなく、 その一本の背景ごとお預かりしているのだと、 あらためて感じさせていただきました。

これからも、一つひとつのご依頼に真っ直ぐ向き合っていきます

今回のような出来事があるたびに、 この仕事を続けていてよかった、これからも頑張ろうと思わされます。

アルファメック・ゴルフメッキ工房では、 これからも一つひとつのご依頼に真っ直ぐ向き合い、 お客様の大切な一本を、できる限り丁寧に仕上げてまいります。

クラブの再生やカスタムをご検討中の方は、 どうぞお気軽にご相談ください。